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気仙地区
チリ沖地震、走る津波への恐怖 沿岸初の大津波警報
 南米チリ沖で27日未明に発生した大地震の影響で、岩手県沿岸部にも28日午前、大津波警報が発表され、大船渡、陸前高田の沿岸市町村すべてに避難指示が出された。三陸沿岸にも午後2時9分、高さ20aの津波第1波が到達し、その後、第2波、第3波と津波が小刻みに押し寄せ、同5時41分には最大波40aの津波が観測されるなど、沿岸部に終日緊張が走った。主要道路で交通規制も敷かれ、交通網や市民生活にも大きな影響が出た。同日午後5時現在、津波による大きな被害は報告されていないが、今後調査が進むにつれて養殖水産関係などで被害の拡大が懸念される。大津波警報は平成5年(1993)7月の北海道南西沖地震以来17年ぶり、本県では初めて。昭和35年(1960)に来襲したチリ地震津波から今年で50年目。半世紀ぶりに再来した遠地地震津波の恐怖に、沿岸住民はまんじりともしない不安な1日を過ごした。
 気象庁によると、チリ中部沿岸で27日午前3時24分(日本時間午後3時34分)ごろ、マグニチュード8・6の大地震が起きた。震源地はチリ第2の都市コンセプシオンの北東約115`で、震源の深さは約55`。
 この大地震を受けて、同庁は同日午前9時33分、岩手県、青森県、宮城県にかけての太平洋沿岸に大津波警報を発表した。
 大津波警報が発表されたのは、平成5年(1993)7月に、北海道の奥尻島などが被災した北海道南西沖地震以来、17年ぶり。本県に大津波警報が出されたのは今回が初めて。
 沿岸市町村では、防災無線で避難命令を発令。消防団員らが水門を閉じたり、沿岸住民は高台などに避難するなど、厳重に警戒した。
 この地震の影響で、午後1時9分に大船渡で津波の第1波が到達。赤崎町長崎にある大船渡検潮所で、20a(押し波)の潮位変動が観測された。その後、第2波、第3波と小刻みに津波が来襲。満潮時間と重なった午後3時に30aを観測。さらに同5時41分には40aの津波が押し寄せた。
 岩手県では、同日午後3時49分現在、久慈が1・2b、宮古で30a、釜石で40aの津波を観測したほか、北海道根室市、仙台市の仙台港で90aの津波が観測されている。
 本県における大津波警報の発令は初めて。最近では平成17年11月15日に発生した三陸沖を震源とする地マグニチュード7・1の地震(大船渡と陸前高田で震度3)で50aの津波を観測して以来、5年ぶり。
 気仙両市では、大津波警報の発表を受けて防災行政無線で沿岸住民に対して大船渡市が午前11時、陸前高田市が同11時半に避難指示を出した。消防団もただちに出動し、市内各所の水門・扉門を閉鎖した。
 気象庁の津波到達予想時刻では、大船渡で波高が最大で3bの津波が押し寄せるといった予測も出て、緊張はいやが上にも高まった。国道45号や国道340号の1部も通行止めとなったほか、JR、三陸鉄道、県交通バスも運行を見合わせるなど交通機関にも影響が出た。
 沿岸部の人々は、津波の襲来に不安を募らせ、近くの高台などに避難。警報が解除になるまで、消防団、漁協関係者は津波が観測された日中から夜まで監視を続け、神経をとがらせた。
 大船渡湾口防波堤を望む大船渡町丸森の高台では、消防関係者や報道関係者などが津波来襲に備えて待機。午後1時から3時すぎにかけて、白波を立てて断続的に押し寄せる津波に梶を取られる沖合の避難漁船を見守った。
 満潮時間となった午後3時すぎには、市民などから本社に「三陸町綾里小石浜の岸壁で潮位が1b引いた」「三陸町越喜来で高波が防波堤を超えた」「気仙中付近の気仙川河口で2・5bの引き波があった」「気仙町長部で潮位が1b以上下がっている」などの情報が続々と寄せられた。
 大船渡市漁協の監視船「つばさ」から同日午後6時、「大船渡湾口防波堤内側の航路中央付近にわかめ養殖イカダが多数漂流している」との連絡が入った。
 同日午後6時現在、道路や建物などの被害報告は寄せられていないが、沿岸部のカキ、ホタテ養殖施設のロープが切れ、ぶつかるなどの被害がかなり多く発生しているみられ、今後の調査によって水産業を中心に被害が拡大する恐れがある。
 気象庁では、今回のチリ沖地震に伴う津波について「最初に小さい津波が到達した後に大きな津波が到達しており、50年前のチリ地震津波と同様の傾向がみられる」と指摘した。
 また、場所によっては、検潮所で観測された津波の高さより、さらに大きな津波が到達している可能性もあるとし、「今後も太平洋沿岸では1〜3b程度の津波が予想されるので、引き続き津波情報に注意し、警報発令中は海岸、河口付近に近づかないようにしてほしい」と、厳重に警戒するよう呼びかけている。
 昭和35年5月23日(日本時間)が引き起こした「チリ地震津波」では、地震発生から約22時間半後の翌24日早朝、最大で6bの津波が約1万8000`離れた三陸沿岸を中心に襲い、大船渡市で53人、宮城県志津川(現南三陸市)で41人の犠牲者を出すなど、全国の死者・行方不明者は142人に達した。
2010年03月01日付 1面
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▲大船渡防波堤付近に来襲する津波に翻弄される避難船=28日午後3時20分、大船渡町丸森の本社より撮影

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