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世迷言

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☆★☆★2015年03月29日付

 本来一体である骨と肉が別々になったらそれは痛いだけでなく動けなくなるかもしれない。肉離れを体験した人ならその苦痛は痛いほど身にしみているだろう。大塚家具の父と娘がその「骨肉の争い」を演じて世間から厳しい目を向けられたのは当然▼「兄弟は他人の始まり」というたとえ通り、兄弟仲が悪く他人同士もかくやと思うような争いになることはしばしばだが、「親子は他人の始まり」とは普通言わない。むろん親子喧嘩はあり、時には親が子を勘当する例もある。が、その逆は何と言うか?まさか勘当ではあるまいが、そんな用語が必要になるのだけは避けたいもの▼国内の家具販売業界で今飛ぶ鳥を落とす勢いなのが北海道を拠点とする「ニトリ」とスウェーデンからやってきた世界最大の家具販売会社「IKEA」の2社だが、元々国内的に名の知れた老舗で、圧倒的なシェアを誇ってきた大塚家具の存在を抜きにこの市場を語ることはできない▼しかし今後の経営を巡って父娘が対立、ついには株主総会でどちらの路線を選ぶかが問われたが、結果は娘の側が6割の支持を得て社長続投、父親の会長退任が決まった。たかが一企業の総会がかくも広く注目を集めたのは成り行きよりも親子の相克に終止符が打たれてほしいという庶民の嫌気が反映されたものだろう▼どちらの言い分にも一理があり、それは過去の実績と現在の分析と未来の予測という方程式を解いてみる必要があるだろうが、その前に求められたのは親子の対話ではなかったのか?

☆★☆★2015年03月28日付

 航空機の製造技術は日進月歩で、特に安全性をとことん追求する「フェイルセーフ(多重安全対策)」が飛躍的に改善されて機体の故障による墜落事故は希少となったが、操縦する側、つまり乗員の「故障」対策は永遠の課題であり続けるだろう▼ドイツの格安航空会社がスペインのバルセロナからドイツのデュッセルドルフへ向けたエアバス機が墜落、日本人2人を含む乗客乗員150人の生存が絶望視されているが、その原因がテロ対策として採り入れた安全システムが裏目に出たものというのだから、科学にも抜け穴は必ずあるという証拠だろう▼ボイスレコーダー(操縦席の会話記録装置)の解析などから墜落は故障などによるものではなく、人為的なものと分かりなぜそのようなことが起こったのかが新たな検証課題となっている。何せ機長がトイレに行くために離席し、操縦室に戻ろうとしたら副機長が開扉を拒んで閉め出され、離陸から約40数分後に1万1500bの高度から急降下、約8分後に墜落したというのだ▼副機長に一体何が起こったのかは今後の調査に委ねられるとしても、機長が操縦室に戻れなかったのはテロ対策の「安全装置」が想定外の機能を発揮したことによるらしい。ドアは操縦室でスイッチをいれるとロックがかかり、暗証番号を入れても外からはあかないようになっていた▼正副機長のいずれかに肉体的精神的異変が起きて操縦不能になるような事態は人知の及ぶところだが、科学が人間を裏切るところまでは想定していなかった?

☆★☆★2015年03月27日付

 チュニジアといえばジャズの名曲「チュニジアの夜」と歌謡曲「カスバの女」に出てくる首都チュニスの名ぐらいなもので、一体どんな国か想像がつかないが、海外旅行の人気先だったと改めて知った▼その国で日本人が何人もテロの犠牲になったという第一報を聞いた時は、おそらく商事会社や大型プラント工事会社などの出張社員だろうと推測したのだが、観光旅行での受難と知って、水盃など不要な国なのだなと認識を新たにした次第。北アフリカに位置しアルジェリアとリビアと国境を接すというだけではピンと来ないがいずれ馴染みが薄いことだけは事実▼今回のテロ事件で外務省の海外安全ホームページはその人気ある観光国の警戒レベルをこれまでの「十分注意」から「渡航の是非検討」に1段階引き上げた。むろん「触らぬ神に祟りなし」「君子危うきに近寄らず」なのだが、どんなに安全、安心な国といえども言葉も外見も異なる外国人にとっては多少のリスクが伴うことは覚悟しなければならない。「よそ者」は現地の事情に疎いためカモになりやすいからである▼国内の旅行会社がチュニジア観光のツアーを中止したというニュースを聞いてさもありなんと思いながらも、実はかえって安心なのではないかと逆説的に考えた▼チュニジア政府の警戒は一層強まるだろうし、大体テロリストたちはそこまで危ない橋を渡るまい。むしろ新たな標的は他の国に移るはずである。だからこそここなら安全、安心という国こそ逆に避けるか注意した方がいいはず。

☆★☆★2015年03月26日付

 小冊子に収められた一文のタイトルに引かれて読んだのだが、灯台下暗しというか、日本人がその良さに気付いていないことは案外多いのだろうというのが読後感▼「フランスを驚かせたBENTO=vというタイトル中のこの英字部分は「弁当」のことである。筆者のベルトラン・トマというフランス人は、10年ほど前に来日し日本のデザイン会社に就職した後に独立して日本文化をフランスに紹介するブログ(論評)を立ち上げている日本びいきだが、日本の職場で初めて見た弁当箱の機能性に惚れ込みすぐ商売に結びつけたところが異色▼フランスで弁当箱にあたるものはプラスチックの容器で、それにパスタやサラダを入れて職場に持っていき、皿に移し替えて食べるのが普通で、弁当箱から直接食べるという習慣がないため、一つの箱にさまざまなおかずが彩りよく並べられて、見るからにうまそうな「ベントー」にカルチャーショックを受けてもおかしくはない▼これは本国でもヒットすると閃き、試行錯誤しながらついに箸や水筒などを含めて600種もの弁当箱及び関連グッズを売り出し、これまで世界80カ国で5万件以上の注文をこなしてきたというのだから、ビジネスとは目の付け所によって決まるといういいお手本だ▼小生も週5回は弁当を自作するが、世界的に見れば弁当箱そのものがかくもすぐれものだったなど気付かなかったから、宝の山を踏みつけて歩いてきたようなもの。そんな不明を棚にあげて格差がどうのと言う資格などあるまい。

☆★☆★2015年03月25日付

伝℃野探幽筆の家宝が実は真っ赤なニセモノだったり、気にもとめていなかった色鍋島の大皿がとんでもない逸品だったりと「お宝鑑定団」は遠慮なく明暗を分けるが、真贋しんがん判定は当事者以外にも楽しいのは洋の東西を問わぬよう▼米国版「お宝鑑定団」を見始めたのはいつか。有料番組で不定期だが毎日のようにあるので、番組表を見て「今日は○時からある?」と期待を膨らませる。出品者と視聴者を一堂に集めて公開する日本式スタイルと異なり、ドラマ仕立てでかなり脚色されているが、持ち込まれるお宝が何なのかという興味が一点に集まるのはどちらも同じ▼鑑定されるお宝は書画骨董類が多く、それが専門家によって数千万円にもゼロにもなるところが面白いのが日本版だが、米国版は質屋が舞台となっていて、当然鑑別は質屋の主人が行うが、何せ物質文明のメッカ。玉石混淆の実にさまざまな品と対面するために真贋や価値
は外部の専門家に頼ることも多い▼あちらの質屋は質草を預かるだけでなく買い取りもする仕組みになっているようで、日本の質屋には多少詳しい小生には「質入れですか、買い取りですか?」とまず主人が聞くところが新鮮だったが、買い取り価格をめぐって双方が駆け引きするところがみもの▼さすが米国、「商談」の対象が昔のカノン砲から退役したジェット戦闘機までと千差万別、なんとも幅広いのには驚くが、真贋がはっきりした時ほど人間の素地が出るのは日米を問わない。そこが面白くてはまってしまうのである。

☆★☆★2015年03月24日付

 法的な問題ともかく商道徳上こんなことが許されるのかと呆れるのが中国におけるコピー商品の認知ぶりで、同時に驚くのがその開発スピードの早さである▼ヒット商品が生まれると、いや時には生まれる前に海賊版が現れるこの国では知的所有権などあってなきがごとしで、海賊版をつくれるだけの技術、ノウハウがあれば表舞台で実力を発揮すればいいようなものだが、「知力善用」がそのまま通用しない風土があるのか、それともアンダーグラウンド(地下活動)が公然と通用するお国柄なのか、模造品市場が駆逐される様子はない▼早い。とにかく早い。大向こうを唸らせるようなヒット商品が世界を駆け回りはじめると、それから間もなく、瓜二つとまではいかないまでもそれに似せたそっくりさんが登場する。その中国のネット通販から小生のメールに届く商品案内を見て「なんだこれは!」と驚くのは、まさに商道徳上の次元からだが、この国の常識から言えば驚くには値しないのかも知れない▼商品名こそ異なるもののデザインも機能もコピー商品であることは疑いもないが、それがネット通販のカタログに取り上げられるということは本物でなくとも、単なる形を似せただけの粗悪品ではないからOKということなのか▼似ているだけで訴えられる国では通用しない常識だが、ある程度名前の通ったメーカーですら、模倣も必要悪と割り切っているようなところがある。発展途上の中ではこれもやむを得ない事情と見るべきなのだろうか。

☆★☆★2015年03月22日付

 「春はいいんだけど花粉症がね」という声をあちこちで聞く。英語なら「干し草病」と言われるように「病原」は異なるが、花粉が引き起こすこのアレルギー性疾患はいまやまさに「国民病」と化した趣きがある▼それにしても周囲は花粉症だらけである。冬の間はインフルエンザ防止のためマスクをつけていたが、春になれば今度は花粉対策としてのマスク着用となり、昨年暮れから素顔を見たことがない女性が周りに何人かはいる。PM2・5のような大気汚染が起こったら多分ガスマスクをつけるようになるだろうが、それにしても雑踏のあるところマスクの氾濫である▼花粉症がこれほど猖獗を極める(荒れ狂う)ようになったのは小生の記憶だと高度経済成長のはじまり頃と符節が一致する。少なくとも20代に入るまではこんな言葉を耳にすることすらなかった。それがこうも猛威を振るうようになった原因は何なのか?これについてはマイホーム時代の到来が杉の植林を急増させたためという見方がある▼確かに杉花粉が飛散する量は昔と比べものにならないほど多いから、うなずけないわけではないが、小さい頃からその洗礼を受けていても発症しなかったものが、長じてからある日突然に変化が起こるというのは、他に何かの原因が考えられるのではあるまいか▼小生も時に花粉症的症状を認めることがあるが、これが花粉症なのかそれとも冷気に対する過敏症なのか見極められずにいる。しかし老化のため免疫力が低下したとは認めたくないことも事実だ。

☆★☆★2015年03月21日付

エコカーの一つである電気自動車に「ワイヤレス(無線)」で給電できる新技術が日本で開発され、実用化に向けた研究が進んでいる。(日経)幹線道路だけでの使用にとどまるとしても、新時代を切り開くことになることだけは確実だ▼このほどその試作車が公開されたが、わずかに5b進んだだけの「実力」しか示せなかったものの、大きな注目を集めたという。「電界結合方式」と呼ばれるこの給電システムは、道路からタイヤなどを通じて受電するもので、タイヤの補強のために埋め込まれている金属と道路下に敷かれてある金属シートの電極線路との間に生まれた電界によってモーターを回すという仕組み▼この方式が実用化されれば現在走行距離数に難のある電気自動車が「長距離ランナー」に変じてかつエコ化にも貢献、さらに小さなバッテリーを積載するだけで済むため製造コストも下がるので普及も進むというメリットが期待される▼ワイヤレス給電の方式としては他に米国で開発された「電磁誘導方式」があるが、こちらは電気を供給し続ける能力に限界があり、大型のバッテリーは不可欠なのが欠点。そのいずれにしても実用化のためには大型のインフラが必要でその他にもクリアすべき課題は少なくないが、実用化されれば新たな可能性も生まれるかも▼それは自動運転である。給電の長いラインを使って走行をコントロールできるシステムを築けるはずだからである。接地面のパンタグラフが車を「電車」に変える。そうなれば事故も減るだろう。

☆★☆★2015年03月20日付

 久しぶりに景気のいい話題で国内が沸いている。といっても大手企業に限ってのことで、今年の春闘がベースアップ満開というものだ。願わくはそんな好況を地方にもお裾分けしてもらいたいもの▼ウケに入っているのは主に大手自動車産業で、トップを走るトヨタ自動車では4000円という大盤振る舞いに踏み切った。他のメーカーも右へならえで、円安が追い風になった産業ならではの勢いである。このベアは労組が勝ち取ったものというよりは「政府主導」的意味合いが強いのは、安倍首相が円安効果に潤うメーカーや財界の首脳を招いて強く要請した効果と見られるからだ▼むろんない袖は振れないから応じられない企業もある。パナソニック、シャープ、ソニーなどトップが苦戦している電機業界は、企業間の業績差が大きく、かつてのような「横並び」は困難となったようで、日立製作所や三菱電機などの好調企業を除いて3000円という目標をクリアできるかどうか微妙なところらしい▼景気のいい話を聞くのはいいことだが、中小や地方には必ずしも業績好調という風が回ってくるとは限らず、むしろ円安が逆風になっている部分が小さくないから目下のところ他人事のように思える。加えて消費税のアップが影を落としている一面もあり、いやでも格差を実感せざるを得ない▼むろん、大と中小、中央と地方の格差は今に始まったことではない。しかしその上に安住しているのも否定できないところで、いずれいいこともあるさと達観していよう。

☆★☆★2015年03月19日付

 大規模災害時に被災地への石油供給を確保するにはどうしたらいいか?経産省資源エネルギー庁が出した答えが、自衛隊との協力拡大。自衛隊の持つ大量輸送能力と機動力をフルに発揮してもらうというわけだが、「苦しき時の自衛隊頼み」だけでいいのか?▼大災害時には交通網の遮断やタンクローリーの不足などで被災地に燃料が届かず、さまざまな問題を引き起こすであろうことは大震災前でも十分想定されたはずだが、実際にはそういうシステムは確立されていなかった。結果として被災地のガソリンスタンドには給油のための長い行列ができ、1台10gまでといった「配給」を余儀なくされて事業所も個人も困りはてた▼このため資源エネ庁は自衛隊や石油元売りなどと災害時の輸送協力を進め、今後各地で合同訓練を実施して有事にも円滑な石油輸送ができるようにしたい考え。民間のタンクローリーなどは整備した道路しか走れないが、自衛隊ならその機動力を生かして輸送道を自力で確保しながら目的を果たせるというのは確かに名案▼しかし自衛隊の災害時活動は多岐にわたり、かつ出動人員も膨大になる。肝心の復旧や救助活動に主力を投入している場合に二次的石油輸送の手段確保までの余力があるのかどうかはまた別の問題だろう▼本来は新たな輸送方法を考えるべきだろう。海上輸送とローリーの現地待機という手段が有効で、これは民間のアイデアで解決できる問題だと思う。自衛隊には輸送路の確保に全力を注いでもらえばいいだけだ。


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