気仙・辺辺(あだりほどり)の四季                      No.108/2005.12.18

碁石子供虎舞い



虎は「千里行って、千里帰る」縁起の良い動物。
そのため、荒波に乗り出す沿岸部では「虎舞い」はかかせない存在だ。

気仙地方のほとんどの地区では、獅子頭(ししがしら)を使った民俗芸能を伝承してい
る。「権現さま」とか「虎舞い」と呼ばれ、正月の悪魔払い行事や地域の祭りなどでお目にかかれる。獅子頭には、鹿頭もあるし、たまに虎頭に近いものも見られるが、この地方で「虎舞い」と名乗っても、ほとんどは獅子っ鼻で歯をむき出した “権現さま顔” が多い。
大船渡市末崎町に古くから伝わる伝統の虎舞い。その起源は遠く鎌倉時代にさかのぼる。末崎の泊里浜(とまりはま)に一隻の船が漂着した。積まれていたのは神輿やご神体、祭器一式。その中に獅子頭があった。これらは熊野神社の宝物となり、獅子頭は市内でも最古とされる。地域では五穀豊穣、大漁祈願の霊験あらたかなるものとして信仰。郷土芸能として育てあげ、今日に至っている。
その伝統は、古老から青年、そして少年たちへと引き継がれ、50年ほど前に碁石子供虎舞いが誕生した。保存会の吉田力男さん(62)によると「昭和30年代に尾崎徳三郎という手先の器用な人がいて、子供たちに虎舞いを教えようと小振りの獅子頭をつくったのが始まり」という。
獅子頭につけたクリーム色の幕は胴体をあらわす。「頭振り」と「尻尾振り」の二人が幕の中に入り、たくみに操り踊る。主役の小、中学生たちは地域の後継者。首尾一貫した躍動感が最大の見せどころで、その振り方によって虎舞いの威厳も左右される。

  マタギ 辺辺/テーマ
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